『古代ローマの饗宴』の冒頭でニーナは、ローマ時代の食堂の床に敷かれた美しいモザイクについて語ります。「清掃していない部屋」を意味する食堂のモザイク「アサロトス・オイコス」は、宴会中に人々が地面に投げ捨てた食べ物の滓をカムフラージュするための装飾でした。
(アサロトス・オイコス、ヴァチカン博物館)
宴会の客は馬蹄形に並べられた臥台(がだい)に左肘をついて横たわり、寝そべったまま右腕をのばして、中央テーブルの大皿からご馳走をつかみ取ります。そして食べると、魚の骨やフルーツの種など残飯を、モザイクの床にポイ捨てしていたのです。それらをネズミがねらっています。
(「クリプトポルティコの家」 の食堂の臥台、ポンペイ)
ふんだんにあしらわれた挿絵や写真から、古代ローマの職人たちの美意識の高さがうかがえます。
(葡萄酒を試飲するアモリーニ 「ヴェッティの家」 の食堂の壁画、ポンペイ)
(飲卓、ポンペイの壁画、ナポリ国立博物館)