レオナルド・シャーシャ没後30周年の追悼行事に参列するためシチリアに行きました

『真昼のふくろう』 『人それぞれに』『権力の朝』『マヨラナの失踪』『モーロ事件』『単純な話』など、 日本でも翻訳されたシャーシャの小説は、人口1万人たらずのこんな町で生まれました。

1921年生まれのシャーシャは学校や職場、政党や警察、宗教界で起きる町の出来事をシチリアからイタリアへ、イタリアから世界へと拡大して、社会のあらゆる組織に潜む、見ざる聞かざる言わざるのマフィア的体質を暴き出します。闇にいどむ国語教師や、老齢の眼科医、破戒僧など、孤高の登場人物を対置して。

「シャーシャ没後30年 『脈略』を今読もう:政治と司法が真実を葬るあのミステリー小説を」 。ポスターに記された1971年発表の『脈略』(邦題『権力の朝』)は、キリスト教民主党と共産党の「歴史的妥協」を厳しく批判する作品です。右上の画はシチリア出身のレナート・グットゥーゾ作「トリアッティの葬儀」。

新しいシャーシャ『全集』3巻Adelphi版が、没後30周年を記念して7年がかりで完成しました。編者で 文献学者のPaolo Squillacioti氏とAntonio Di Grado「シャーシャ財団」学術部長が最前列にならんでいます。

ラカルムート町長とシャーシャの次女Anna Maria Catalano Sciasciaさん(前列中央)

本の表紙のような墓石には「おぼえていよう、この惑星を」の文字。右の墓には小学校の先生をしながら 若い時代のレオナルド(愛称ナナ)を支えたマリア・アンドロニコ・シャーシャ夫人が眠っています。

Con la cara amica Naomi Takeya, dal Giappone a Racalmuto.

Antonio Di Gradoさんの投稿 2019年11月19日火曜日

学会の責任者Antonio Di Gradoのフェイスブックに、日本から来た友人Naomi Takeyaが紹介され、愉快な「いいね」が記されていました。「なおみが ラカルムートの住人で、あんたが日本人(もちろん天皇)みたい!」  アントニオはカターニア大学名誉教授で、生前にシャーシャ自身が「レオナルド・シャーシャ財団」 学術部門の部長に任命したイタリア文学者です。「財団はきみの〈家〉だよ」と、迎えてくれました。