「サンクト・ペテルブルクのヴォルテール文庫」を翻訳しました

2007年3月、4月
イタリアの日刊紙「コリエーレ・デッラ・セーラ」の記者アルマンド・トルノが発表した「サンクト・ペテルブルクのヴォルテール文庫」を翻訳しました。

1778年5月30日、思想家ヴォルテールが83歳の生涯を閉じたとき、6000冊を超える彼の蔵書を是が非でも欲しがったのはロシアの女帝エカテリーナ2世である。フランスからロシアへ。冒険物語のように刺激的な本の輸送がヨーロッパ史の一角を照らし出す。

– 地中海学会「月報」298号と299号に訳文を掲載する許可を与えてくださったトルノ氏に深謝。

『カルメンの白いスカーフ』について

出版社: 白水社
武谷 なおみ (著)

(内容)
20世紀オペラ界で、メゾソプラノという地味な声域でありながら長くスカラ座の女王として君臨したのが、本書の主人公ジュリエッタ・シミオナートである。
イタリア歌劇団のプリマドンナとして初来日した1956年、彼女を聴いた文豪谷崎潤一郎は「あれが人間の声か!」と感嘆したという。著者がテレビを通じてそのシミオナートの声に初めて接したのはそれから3年後、まだ小学生のとき。
歌声に魅せられファンレターを出した著者と歌姫との間に長い文通が続き、著者がローマに留学したときから、シミオナートは著者の「イタリアのマンマ」となり生活の細部にいたるまで面倒を見るに至る。それから30年、90を越えて今も矍鑠たるシミオナートは、歌の指導やオペラ界の行事に活躍する。また強い意志と鋭い知性を兼ね備えた彼女は20世紀イタリア文化の生き証人でもある。

この「生きた文化財」を「保存」しようと彼女からさまざまな証言を引き出した、ノンフィクション作品。


『カルメンの白いスカーフ』へのリンク

『イタリア覗きめがね』について

出版社: 日本放送出版協会
武谷 なおみ (著)

(内容)
イタリア・オペラのプリマドンナ、ジュリエッタ・シミオナートの【声】に惹かれ、イタリア文学を志した著者は、その歴史の深みと人々の生命力あふれる生活へと誘われた。古代ギリシア・ローマの壮麗な文明と、第二次大戦下の過酷な痕跡を刻むイタリアという国。
シチリアの戦後文学の空間は、地中海に浮かぶ島の風土と濃密な家族の絆を歴史の襞に忍ばせている。
壊滅的な被害を受けた阪神大震災後の神戸とイタリアを往還しながら、日本から見たイタリアと、イタリアから見た日本を描き出した作品。


『イタリア覗きめがね』へのリンク