日刊「レプブリカ」パレルモの取材で シャーシャを語った映像がテレビニュースで流れました

※再生すると15秒ほどCMが流れる場合があります。上のTakeya Naomi official をクリックしてください。

 

シャーシャへの関心がどうして生まれたか、実際に会ったことはあるのか、どんな作品を翻訳したかを問われて、さびついたイタリア語で答えました。イタリア建国以来、シチリアには驚くほど多く作家が生まれ、ヴェルガやピランデッロを敬愛しているが、わたしにとって導きの糸はつねにシャーシャであったこと。実際に会ったシャーシャは雄弁なイタリア人とちがい寡黙な人で、こちらがショックをうけるほどゆっくりと、一語一語、かみしめるように語る作家であったこと。短篇をひとつ訳したけれど業績がないので印税が払えない、私家版の冊子として周囲に配ってもいいかとたずねる30代のわたしに、すぐにいいよと承諾してくれたこと。代表作『人それぞれに』と『単純な話』を1冊にまとめ、『ちいさなマフィアの話』として白水社から出版できたのは、彼の死から5年たって後のことでした。

レオナルド・シャーシャ没後30周年の追悼行事に参列するためシチリアに行きました

『真昼のふくろう』 『人それぞれに』『権力の朝』『マヨラナの失踪』『モーロ事件』『単純な話』など、 日本でも翻訳されたシャーシャの小説は、人口1万人たらずのこんな町で生まれました。

1921年生まれのシャーシャは学校や職場、政党や警察、宗教界で起きる町の出来事をシチリアからイタリアへ、イタリアから世界へと拡大して、社会のあらゆる組織に潜む、見ざる聞かざる言わざるのマフィア的体質を暴き出します。闇にいどむ国語教師や、老齢の眼科医、破戒僧など、孤高の登場人物を対置して。

「シャーシャ没後30年 『脈略』を今読もう:政治と司法が真実を葬るあのミステリー小説を」 。ポスターに記された1971年発表の『脈略』(邦題『権力の朝』)は、キリスト教民主党と共産党の「歴史的妥協」を厳しく批判する作品です。右上の画はシチリア出身のレナート・グットゥーゾ作「トリアッティの葬儀」。

新しいシャーシャ『全集』3巻Adelphi版が、没後30周年を記念して7年がかりで完成しました。編者で 文献学者のPaolo Squillacioti氏とAntonio Di Grado「シャーシャ財団」学術部長が最前列にならんでいます。

ラカルムート町長とシャーシャの次女Anna Maria Catalano Sciasciaさん(前列中央)

本の表紙のような墓石には「おぼえていよう、この惑星を」の文字。右の墓には小学校の先生をしながら 若い時代のレオナルド(愛称ナナ)を支えたマリア・アンドロニコ・シャーシャ夫人が眠っています。

Con la cara amica Naomi Takeya, dal Giappone a Racalmuto.

Antonio Di Gradoさんの投稿 2019年11月19日火曜日

学会の責任者Antonio Di Gradoのフェイスブックに、日本から来た友人Naomi Takeyaが紹介され、愉快な「いいね」が記されていました。「なおみが ラカルムートの住人で、あんたが日本人(もちろん天皇)みたい!」  アントニオはカターニア大学名誉教授で、生前にシャーシャ自身が「レオナルド・シャーシャ財団」 学術部門の部長に任命したイタリア文学者です。「財団はきみの〈家〉だよ」と、迎えてくれました。

「大竹昭子写真展ー須賀敦子のいた場所」(神戸)でトークショーをするお知らせ

9月7日(土)~12日(木)
神戸・元町のギャラリー島田で開かれる

「大竹昭子写真展 須賀敦子のいた場所」を記念して、

作家で写真家の大竹さんと、初日にトークショーを行います。

大竹昭子著『須賀敦子の旅路』(文春文庫)は、作家の須賀さんとふかい
親交のあった著者が、ミラノ、ヴェネツィア、ローマをくまなく歩き、
須賀文学の核をなす場所や人や事物を目で見て、確かめ、思考をかさね、
没後20年たった今、珠玉の須賀ワールドへとふたたび読者を誘います。

武谷は、作家になられる前の須賀さんの想い出を、イタリア文学研究の後輩として、
また同郷の友人として語ります。詳細は、下をクリックしてください。

http://gallery-shimada.com/?p=6334

 
トークショーに先がけ「ギャラリー島田」通信に「須賀敦子さんと対話した日々」を
記しました。蝙蝠マークの島田さん、すてきな紹介文をありがとう。

 

(ギャラリー島田」通信 2019.08/09 「美の散歩道 86」)
(「ギャラリー島田」通信、2019.08/09 「美の散歩道 86」)

 

『次の本へⅤ3しごと編』が苦楽堂から出版されました

『次の本へⅤ3しごと編』が苦楽堂から出版されました。

「神戸新聞」取材班が2015年から約3年間、仕事の異なる71人に「本との出合いの物語」をインタビューした連載記事が、まとめて本になりました。

最初の本から次の本へ。あの「しごと」をしている人はどんな本を読んできたのだろう?

喫茶店主も、駅長も、市民ランナー、俳人、工業高校生も、71人が71様に選んだ2冊の本。それぞれの時代と人生がつまっています。

『イタリア紀行』から『セイレーン』へ。シチリアに恋したわたしのおすすめです。

 

『次の本へⅤ3しごと編』
(苦楽堂 2018年12月12日発行、1600円+税)

 

没後20年「友人須賀敦子を語る」講演会(芦屋)のお知らせ

イタリア文学の翻訳者、晩年はエッセイストとして活躍し、今も多くの読者を魅了する

須賀敦子さん。

でも若い時代の須賀さんにはもうひとつ、イタリアにおける日本文学の名訳者という

別の顔がありました。なかでも谷崎潤一郎の小説の翻訳は7作以上。

20年目の命日に、芦屋市谷崎潤一郎記念館の主催で、芦屋生まれのなつかしい友人、
須賀敦子さんの想い出を語ります。

日時 2018年3月20日(火)午後2時~3時30分
場所 芦屋市立美術博物館 講義室
定員 80人

講師 武谷なおみ(イタリア文学研究者、元大阪芸術大学教授)

受講料 1,000円(谷崎記念館入館料込み)

※ 注意:コチラの講演はすでに終了しております。※

場所が芦屋市立美術博物館(谷崎記念館隣)、定員80名に変更になりましたが当日は90名近い参加者にめぐまれ、須賀さんの人気の高さが偲ばれました。

 

2018年3月「友人須賀敦子さんを語る」講演会
「読売新聞」2018年1月10日(夕)

 

(谷崎潤一郎の小説、須賀敦子訳、イタリア文化会館東京・大阪蔵)
(谷崎潤一郎の小説、須賀敦子訳、イタリア文化会館東京・大阪蔵)

「神戸新聞」2017年12月15日〈随想〉武谷なおみ

「神戸新聞」にエッセイを連載しました

「神戸新聞」の夕刊でおなじみの「随想」欄に、
9月から12月まで、7回にわたり、エッセイを連載しました。

1)9月8日(金) 「オリンピック競技場の横断幕」
2)9月25日(月) 「神戸の詩人・多田智満子さん」
3)10月12日(木)「ある夏、シチリアのバスで」
4)10月27日(金)「神戸の誇り、〈移住ミュージアム〉」
5)11月14日(火)「イタリア行きのスーツケース」
6)11月30日(水)「グローバル化したイタリアの今」
7)12月15日(金)「阪神間の作家、須賀敦子さん」

「神戸新聞」にインタビュー記事が掲載されました

11月5日
「神戸新聞」夕刊の「次の本へ」というコラムに、「シチリアから読み解く世界」という記事が、平松正子記者による取材で掲載されました。

高校時代に読んだゲーテの「イタリア紀行」に描かれていたシチリアが、約半世紀を経て『ランペドゥーザ全小説』(作品社)のなかの中篇「セイレーン」の翻訳へとつながった経緯を語っています。

イタリア本国で『ランペドゥーザ全小説』の邦訳出版が報じられました

1月2日(金)
イタリア本国の「ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーザ」のサイトで、「日本におけるトマージ・ディ・ランペドゥーザの幸運」と題して、『ランペドゥーザ全小説』の邦訳出版が報じられました。